– 2025.9.2 –
長崎県の大石知事が8月31日に石木ダム計画地を視察しました。
このタイミングでの視察は、今月8日から始まる県議会向けのパフォーマンスとの見方がありますが、県内に拠点がある新聞・放送局はNHKを除いてほぼすべてが知事の視察を報じています。
各社の報道を読み比べたところ、水没予定地とされた計画地に暮らす住民側との面会がかなわなかったことを見出しに使っている社が少なくなく、ニュース内でも大半の社が「面会不可」を報じていました。
報道を通して〝要望したが住民側が会ってくれなかった〟という事実が県民にアピールされた一方、面会を断った住民側の考えを報じた社はわずか3社しかなかったのです。
《なぜ、どんな理由から住民は会おうとしなかったのか》
このニュースの肝は知事が計画地を訪れたことではなく、住民側との面会がかなわなかったことにあり、それを報じてこそ完結するニュースだと思うのですが、残念ながら住民側のコメントを報じたのは9社のうち3社でした。
ニュースを見聞きした県民は「なぜ住民は会おうとしないのだろう」などと疑問を抱くと思うのですが、大半の社がその答えを報じていないのです。
これでは県の広報と変わりません。
理由が報じられないことで、もしかしたら住民に対して「けしからん」などといった感情を抱く県民が現れる恐れもあります。
さらに県側の「住民の理解へ努力」を報じながら、どのように理解を得ていくのかを報じた社もありません。
石木問題を長引かせている原因のひとつに、県が住民側と信頼関係を築けていないことが挙げられます。
大石知事は2022年2月の県知事選挙で、4期目を目指していた現職候補と新人候補を破って初当選。
知事としては最年少39才での当選で、選挙戦では若さをアピールして世代交代を強く訴え、現職との違いを強調していました。
今回の視察を取材した長崎新聞に対して「都合のいい時だけ『面会を』なんて道理が通らない。早期完成とか自分勝手な言い分」などと語気を強めて話した住民ひとりは、大石氏が当選後初めて視察に訪れた際、来てくれたことを歓迎し、感謝を伝えていました。
若い知事の誕生により、この問題が終わることを心から期待していたのです。
この3年前の視察では、水没予定地の川原(こうばる)地区に暮らす女性たちが大石知事を案内し、一緒に歩きながら故郷への思いを都度都度説明していました。
ある登り坂では、汗をかきながら歩く女性の背中を知事が冗談を交えて支え、女性が「まだまだ若かばい」と笑って応える場面もありました。
視察の和やかさが伝わる良いエピソードだと思ったので、この時のことを書いても良いかと女性たちに尋ねたところ、知事がセクハラなどの疑いを持たれるかもしれないからと一旦は断られました。
知事にマイナスなるかもしれないと、本気で心配していたのです。
そのくらい大石知事に期待し、変わることを願っていました。
大石知事の誕生から3年半が経ちましたが、石木ダム問題は膠着したままで何も変わっていません。
就任当初は住民との話し合いに前向きな姿勢も見られましたが、次第に自分の言葉で話さなくなり、佐世保市や県土木部の説明を繰り返すばかり‥。
住民の失望は大きく、知事側も住民と信頼関係を築くことを放棄したように見えます。
その積み重なりが今回の面会不可につながっているのです。
写真説明)大石知事が当選後、初めて川原地区を歩いて視察した際に撮影したものです。当時は住民の案内で石木川を渡り、この土地に暮らす女性たちの話に耳を傾けていました。
▼長崎新聞|早期完成を改めて強調 長崎県知事らが石木ダム視察(2025.9.1)https://news.yahoo.co.jp/…/d5464db8947769b89a4793b4dd25…
※住民コメント〈「(8月23日に県が開いた)技術的な説明会に知事の出席を求めたが、(相手側は)応じなかった。都合のいい時だけ『面会を』なんて道理が通らない。早期完成とか自分勝手な言い分。ダム建設に断固反対していく」と語気を強めた〉
▼西日本新聞|長崎県知事「だいぶん景色が変わってきた」2023年12月以来、石木ダム現場を公式視察(2025.9.1)
https://www.nishinippon.co.jp/item/1394144
▼朝日新聞|長崎県知事、石木ダム建設「理解を得たい」 進捗状況など視察(2025.9.1)https://digital.asahi.com/…/AST803TB9T80TOLB006M.html…
▼毎日新聞|建設現場を知事視察 石木ダム 「住民の理解へ最大努力(2025.9.1)https://mainichi.jp/articles/20250901/ddl/k42/040/165000c
※住民コメント〈取材に「建設ありきの姿勢を変えてほしい。佐世保市が人口減少する中、新規水源が必要かどうかを、知事も真剣に考えてほしい」と訴えた〉
▼読売新聞|長崎県知事、反対住民との対立が続く石木ダム建設予定地を視察「直接会って説明する機会をいただきたい」(2025.9.1)
https://www.yomiuri.co.jp/…/news/20250901-OYTNT50087
▼NBS長崎放送|長崎県の石木ダム建設予定地を大石長崎県知事が視察(2025.8.31)https://newsdig.tbs.co.jp/articles/nbc/2139893?display=1
▼KTNテレビ長崎|事業採択は50年前 長崎・石木ダム建設現場を大石知事視察(2025.8.31)https://www.ktn.co.jp/news/detail.php?id=20250831003
▼NIB長崎国際テレビ|反対住民らとは平行線で面会できず「知事が石木ダム建設現場視察」2032年度末の完成予定(2025.9.1)
https://news.ntv.co.jp/…/ni4b26898fd87c4281bb94856f461a…
▼NCC長崎文化放送|大石知事が石木ダム建設現場を視察 反対住民との面会は出来ず(2025.9.2)https://www.ncctv.co.jp/news/article/16004030
※住民コメント〈知事は視察に合わせ面会を求めましたが、「会うつもりはない」と断られました〉

