抗議文提出の報道記事をまとめました

– 2016.12.27 –

長崎県知事への抗議文提出から一夜が明けました。

昨日の夕方には地元テレビ局である「NBC長崎放送」のローカルニュース枠で、事実関係だけでなく抗議文提出に至る私の思いなどが報じられました。

※ 抗議文の中身や経緯

抗議文提出の前々日。NBC記者に電話で抗議文を出すことを伝えると、最初は「立て込んでいるから取材に行けそうもない」と言われましたが、直前になって「自分たちにも関係ある事柄で、問題だと捉えている」からと、長崎市から急いで駆けつけてくれました。

NBC記者が取材後に「私たちの素材が同じように使われる可能性があり、問題意識を共有している」と話してくれたのは、とても心強かったです。

NBCニュース放送終了後、石木川のほとりに暮らす方から電話があり、ニュースの内容が良かったこと、県内ニュースの一番最初に放送されたことを教えてもらいました。夕方には東京へ戻っていたため、ニュース自体は視聴していませんが、感想を聞く限り、取材してくれたSさんには感謝の言葉しかありません。

抗議文提出時、現地には上記テレビ局記者の他、長崎新聞と朝日新聞、毎日新聞と共同通信の記者がいました。本来であれば、メディア各社に等しく取材をしてもらうため、県庁記者クラブに告知をするべきでしたが、今回はいわゆる「投げ込み」をしませんでした。

そのためこれまでに名刺交換をした記者個人にメールで事情を説明し、関心がある記者の方が集まってくれた次第です。

帰宅後、1週間ぶりの自宅で寛いでいると、共同通信の配信記事を見たNHK長崎放送局の記者から電話が掛かってきました。翌朝のローカルニュースで扱うとのことなので、抗議文などの資料をメールで送付。電話取材だったので微妙に思いが伝えきれなかったですが、今朝のローカルニュース枠トップで報じてくれました。

地元紙である長崎新聞は囲み記事で報じてくれました。取材執筆は川棚町にある東彼支局長の熊本陽平記者です。

毎日新聞佐世保支局にいる浅野孝仁記者は、メディア論理法制が専門の青山学院大・大石泰彦さんから取材したコメントもあわせて紹介。

記事に掲載されている大石泰彦さんのコメントを全文紹介します。

「著作権法上は問題ないかもしれないが、写真や映像の勝手な利用は本来の目的とは違う。取材対象者もナーバスになり、取材側を萎縮させる可能性もある」

とても短いコメントなので、見解をもっと知りたくもなりますが、的確な指摘だと思います。

川原地区に滞在中、工事出入口にある抗議テントをのぞくと、女性たちが手分けして里芋の皮を剝いていました。午後に弁護団との打ち合わせがあり、そのときにふるまう豚汁に里芋を入れるのだと、教えてくれました。サングラスやマスクを外し、ときに冗談を言い合いながら里芋の皮を剝く女性たち。この姿を見て、彼女たちは「抗議活動の場へ出掛けている」のでなく、「暮らしの場で抗議活動」をせざる得ないんだと、改めて実感しました。

石木ダム問題は、生活の闘いであり、ここに暮らす方々にとっては不本意ながら〝日常〟です。抗議テントで里芋を剝く姿は、石木ダム問題の本質がよくわかる光景だと思います。しかし、その姿を撮影して公表することは、事業を進める長崎県にとっても〝好都合〟かもしれません。

○月○日に○○が抗議テントにいることを証明し、その日の服装もわかるわけですから。

大石さんが指摘する「取材側を萎縮させる可能性」は絵空事ではなく、かなり現実的なものとして受け止める必要がある。私はそう思います。

毎日新聞のウェブサイトでも記事を読むことができます。

※ http://mainichi.jp/articles/20161227/ddp/012/010/022000c

朝日新聞からは佐世保支局の福岡泰雄記者が取材にやってきてくれました。

記事は朝刊長崎面に掲載。

ブログに昨日投稿した文章は多くの方に読まれ、SNSでもひろく拡散されました。

どのように受け止められたのか知りたくて検索したところ、共感の考えだけではないことを知りました。様々な捉え方、考え方があり、今後の参考になりました。中には法律に詳しい方の立場から「違法性はない。なので問題なし」と断言している方もいました。

長崎県は上記記事にあるとおり、今回の件は問題なしと判断しています。

証拠資料作成をサポートとした弁護士の判断として、法律家の立場から「違法性はない」としたのは理解できます。証拠書類作成にあたっては、いちいち著作者に確認をとる必要は定められていませんし、複製も権利として認められています。

ただし…と思うのです。

長崎県は事あるごとに「(水没予定地に暮らす)住民のご理解をこれからも求めていく」と説明する一方で、地権者が訴え続けている事業の妥当性を話し合う場を拒否し「計画を進める」の一点張りです。私からみても理解を得る努力すらせず、不信感を与える行為を続けています。

稲穂が揺れる川原地区で昨秋撮影した写真が「証拠書類」に使われました。

黄金色に染まる稲田に立つ、ある夫婦の写真です。

夫婦にとって、この場所はかけがえのない宝物であり、先祖と子孫のためのこの先もずっと守り続けたいと願っている稲田です。

豊作を喜んで笑顔となった瞬間にシャッターを押し、収穫前の日常を写すことができた、私にとっても夫婦にとっても大切なお気に入りの写真です。

その写真を長崎県は〝工事(通行)妨害〟の人物特定の証拠として使用したのです。

こんなことの繰り返しで、事業の理解が深まるでしょうか。

法律的に問題ないからと言われて「はい、そうですか、その通りですね」と納得できるわけがありません。


本日、読売新聞と西日本新聞の記者から電話取材を受けました。
明日以降、記事になるかもしれません。

2016年12月27日